多くを語らなかった伝説の写真家
日常の美しい瞬間をとらえること
それが彼の生き方だった

INTRODUCTION|はじめに
Place|渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム|東京都渋谷区道玄坂2-24-1
Experience|ソール・ライターがみた風景
For someone|2017年4月29日〜6月25日まで
雨の日にみたくなる
そんな写真がある

朝ベッドから起き上がると雨の音が聞こえた。それも出かけるのを躊躇してしまいそうなほどの大きさで。パンを頬ばりながら雨がつたう窓をぼんやりと眺めていると、ふと「有名人を撮るよりも、雨に濡れた窓を撮る方が私には興味深いんだ」と言ったニューヨークの写真家を思い出した。

その写真家の名前はSaul Leiter(ソール・ライター)。『LIFE』やファッション誌の第一線で活躍していたが、自分を売り込むことを嫌った彼の作品(いわゆるストリートスナップ)は長い間封印されていた。2006年、ドイツ・シュタイデル社から『Early Color』という写真集が刊行され、その色彩センスや透明性、ユニークな構図でとらえられた作品に多くの注目が集まるようになった。

せっかくの雨の日、渋谷のBunkamuraで展示をやっているようなので足を運んでみることにした。会場に入ってまず驚いたのはその展示数。モノクロ、カラー写真に加え、和紙に描いた絵画作品などを含むと200点以上もの作品や資料が並んでいた。彼がとらえる風景は“美しい瞬間・美しい色”で溢れている。写真からどことなく感じられる優しさがこんなにも心を静かにしてくれるのだろうか。

昨日よりも
雨を愛おしく感じる自分がいた

展示を観終わって外に出ると雨足はさらに強まっているようだった。朝はなんとなく憂鬱に感じていたが、服の裾を濡らしながらも帰り道の雨は美しかった。

「写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時々提示することだ」というライターの言葉がとても好きだ。今回の展示はまさに彼からの贈り物のようだった。彼が今もまだ生きていたのなら、きっと今日もいつもと同じように珈琲を飲み、絵を描き、写真を撮っているのだろう。

Information
展示会場 渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム
住所 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話 03-3477-9252
ウェブ http://www.bunkamura.co.jp/museum/
営業時間 10:00-19:00(入館は17:30まで) ※毎週金・土は21:00まで(入館は20:30まで)
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